2023年12月31日「戻って来た者」

○金 南錫牧師   ルカによる福音書17章11-19節

イエス様が今弟子たちと一緒に、エルサレムに向かって、旅を続けています。その旅の途中、ある村に入ると、重い皮膚病を患っている十人の人が出て来て、イエス様を迎えました。重い皮膚病にかかった人は、人里離れたところで暮らさなければなりませんでした。それは、この病気が当時、恐ろしい伝染病だと考えられていたからです。だから、彼らは遠く離れたまま、声を張り上げて「イエスさま、先生、どうか、わたしたちを憐れんでください」と叫びました。イエス様はこの叫びに答えてくださいます。イエス様は彼らを見て「祭司たちのところに行って、体を見せなさい」と言われました(14節)。

当時、病気が癒されたことを証明できるのは神殿の祭司だけでした。祭司が証明してくれれば、その人は家族に帰って行くことができました。彼らはイエス様の言葉に従って、村を出て、神殿に向かいます。未だ病気のままです。ところが、彼らは祭司のところへいく途中で、清くされたのです。病気は治ったのです。「その中の一人は、自分がいやされたのを知って、大声で神を賛美しながら戻って来た。そして、イエスの足もとにひれ伏して感謝した。この人はサマリア人だった」(15-16節)。十人の中の一人、サマリア人は自分がいやされた時、大声で神を賛美しながら、イエス様のところに戻って来たのです。しかし他の九人は、祭司のところへ向かう途中で、自分がいやされたことを知ったはずですが、イエス様のところに戻って来ませんでした。

 イエス様はご自分の足もとにひれ伏して感謝しているサマリア人に「立ち上がって、行きなさい。あなたの信仰があなたを救った。」と言われました。この言葉はイエス様のところに戻って来たサマリア人一人だけが聞いたのです。つまり、病気の癒し、そのものが救いではなくて、「イエスのもとに戻って来て、ひれ伏して感謝する」そのことを、イエス様は「あなたの信仰」と呼んでくださって、その信仰があなたを救ったと仰いました。