2020年3月15日「あなたに欠けているもの」

○金 南錫牧師 マルコによる福音書10章17-31節

 たくさんの財産を持っているある人がいました。マタイによる福音書では「金持ちの青年」、ルカによる福音書では「金持ちの議員」と紹介されています。
 この青年は、子供の時から神の掟を守って来ました。しかし、何か心の中に、掟を守っていても、満たされないものがありました。そして、イエス様に「善い先生、永遠の命を受け継ぐには、何をすればよいでしょうか」と尋ねたのです。
 この青年は神様の救いにあずかるには、何をすればよいでしょうか、と聞いているわけです。イエス様はこの人を慈しみに満ちた眼差しで見詰めながら、「あなたに欠けているものが一つある。行って持っている物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい」と語りかけたのです。この言葉は、彼のこれまでの生き方を根本からひっくり返すようなことでした。
 22節に「その人はこの言葉に気を落とし、悲しみながら立ち去った。たくさんの財産を持っていたからである」とあります。
 この金持ちの青年の根本問題は、主のために自分をいかに用いるか、であります。財産そのものは惡ではないのです。いかに用いるかによって、その人の生き様が変わってまいります。そのような営みの中で、天に富を積む生き方、主のために、教会のために、自分の時間や能力、そして自分の宝を用いることの大切さを、私たちは大事にしていきたいと思っています。
 クリスチャンは、この世においても、天においても、永遠の命を受け継ぐ約束が与えられています。永遠の命は、イエス様との命のつながりであります。そのために、私たちが日々の生活の中にいかに、主に従って生きていくのか、それが私たちに欠けている信仰の課題の一つです。