転入会者より 迷える一匹の羊 今故郷に帰る

○ぶどうの枝第54号(2021年6月27日発行)に掲載(執筆者:IT)

 私どもの長女は、某国立女子大学卒業の春、前年の国家公務員試験に合格後内定をいただいていました宮内庁に女子総合職第一号として勤務することになりました。入庁後は順調に職務をこなし、三年後には侍従職(しき)に抜てきされ、平成時代の両陛下の身近にお仕えすることとなりました。陛下や当時の皇后美智子さまの御名代として赴く侍従様の供をして、各所に出向く娘を持つ母親である私は、誠に得意の極みにありました。
 順調と思っていた娘が出勤前のある日の朝、突然「仕事に行きたくない」と大粒の涙を流し、泣き出しました。長い欝病との闘いの日々の始まりです。その当時は事情を飲み込めぬまま、医師の言う一時の「疲れ」なら数か月の休養で回復するとばかりの軽い気持ちで楽観視しておりました。がしかし、一向に職場に復帰する兆しがありません。やっと事の重大さに気が付き焦った私は、知り得る限りの癒し信仰を掲げるカリスマ系牧師たちを訪ね、あちらこちらの教会をさ迷っておりました。
 罪を告白せよと言われればその様にし、身の丈に合わない献金を要求されれば従いました。しかし、薬石も祈りの効もないまま病は重くなる一方で、私は半狂乱になっていたと思います。そんな折、上司の侍従次長様のお誘いで東京芝教会の礼拝へ家族で参加させていただくようになりました。思えば子供の頃、私は教団CSに参加しており、また、高校時代に通うよう学校から指示されていたのも教団教会でしたので、芝教会に違和感はありませんでした。その後の様々な道のりを経て十年程前から同じ教団の佐倉教会に出席させていただいておりました。
 迷える一匹の羊であった私を神様は探し出し、正式に転会を許された今やっと故郷に帰してくださいました。不思議な御手と、温かく迎え入れてくださいました金牧師様を始め多くの方々のご愛を思い、心から感謝とお礼を申し上げます(なお芝教会は遠過ぎるのとその後娘の退職に伴い、御無沙汰となりました)。同じ日に転会式に臨まれたI姉には、ご自身の過ぎしのこと等を話し信仰を分かち合って下さいました影響で、私もやっとありのままの自分をここに披瀝することができましたことを感謝しております。このような私ではありますが、どうぞ皆様仲よいお交わりをよろしくお願い申し上げます。
 「あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真実な方です。あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます」(コリントの信徒への手紙一 一〇章一三節)