随想 S姉をしのんで

○ぶどうの枝第54号(2021年6月27日発行)に掲載(執筆者:MA)

 S姉に初めてお会いしたのは三十年ほど前で、第一印象で「なんて美しい方だろう」と思ったことを今も鮮明に覚えています。
 その後、佐倉教会で出会い、彼女の深い信仰を知りました。共に、神様に導かれ全てを委ねて歩むことを語り合い、長いお付き合いになったのです。
 近年、施設に入所された彼女を、お見舞いに行く度に「Aさん ありがとう」と笑顔で迎えてくださり、会えたことを共に喜び合ったものです。
 彼女と最後にお会いしたのが佐倉教会の事務室のパソコン画面を通してでした。やはりいつもの笑顔で「何度もありがとう」と言ってくださった。
 彼女の葬儀で金牧師が彼女の好きな聖句を読まれました。それは詩編三七編五節~六節(あなたの道を主に委ねよ、口語訳)
「主に信頼せよ、主はそれをなしとげ、
 あなたの義を光のように明らかにし、
 あなたの正しいことを真昼のように明らかにされる」
 このことで彼女の信仰の歩みに再び心を打たれました。今日この頃、世の中がコロナウイルスの脅威下にあって、このように励まし語り合うことは難しく、人びとのつながりも希薄になってきています。外に出れば人を避けることが当たり前になっています。
 佐倉教会においても例外ではなく、心晴れない寂しい日々が続いています。
 今は、かつて彼女と共に祈りをささげた穏やかな教会生活が再び戻ってくるのを祈るばかりです。
 Sさん、私も言うね。「ありがとう」。