○ぶどうの枝第63号(2026年6月28日発行)に掲載(執筆者:HS)
私は一九四四年三月、伊豆の大島で生まれ、波浮の港という集落で育ちました。幼小の頃は、ボーっとぼんやり過ごしていたようです。あまり思い出すことはありません。
クリスマスの記念写真が一枚ありました。畳敷きの教会の礼拝するところに、おばさんやおじさんや小さい子ども、大きい子どもたちが集まったクリスマス記念写真です。なにか暖かい、むんむんするような空気だった記憶のような思いがあります。
小学生から中高生の頃には、クリスマス礼拝や祝会の思い出は特別思い浮かばないのですが、クリスマスというと毎年イブの夜に教会に集まって、クリスマスカロルに出かけたことをとても楽しく思い出します。このクリスマスカロル特設聖歌隊(?)の編成は、姉たちとその友だち、もうすこし先輩の青年の人たち、私とその友だちが一緒になって十二~十三人くらいだったと思います。
お祈りして七時過ぎに教会を出発。信徒や求道者の方のお家など五~六か所くらい回ります。今のような街灯もなく真っ暗な道です。道筋の見当は、普段慣れ親しんでいる道の感覚と、見上げると道の両側に続く防風林の椿の木の間に見える星空でした。お家に近づくと互いに声を潜めて集合し、一斉にクリスマスの讃美歌を歌いました。お家の明かりが灯って、うれしい気持ちになって、時にはお家の方も一緒に歌ったりしました。
そしてクリスマスの挨拶を交わして、すぐに次のお家に向かいました。教会に帰ると、婦人会のおばさん、ばあちゃん、おじさんたちが、いつも温かいものを作って出迎えてくれました。おしるこだったり、とん汁だったり、とてもおいしかったです。体も心もあったかくなりました。今でもその記憶、その感触を楽しく嬉しく思い出します。
