随想 「ゆうゆうの里」の聖書を読む会 施設開設と同時に発足

○ぶどうの枝第60号(2024年6月30日発行)に掲載(執筆者:YA)

 今から三十六年前の一九八八年五月、「佐倉ゆうゆうの里」の開所式に佐倉教会の島津虔一牧師が出席したと、記録にあります。施設の建設が計画されたとき、浜松の聖隷福祉事業団がその構想に関わったことに由来します。
 聖隷福祉事業団の始まりは一九三〇年に長谷川保青年をリーダーとする若いキリスト者たちが結核で苦しむ人たちを助けるために起こしたもので、彼らは資金も援助もない中で結核患者らの食べ残した食事を大鍋で煮て食べながら働いた、と言われています。長谷川保はその後もイエス・キリストの教えを実践する生涯を送り、後に参議院議員にもなりました。聖隷福祉事業団はその後も「ゆうゆうの里」に有形無形の支援をしてきました。「ゆうゆうの里」は設立当初からキリスト教とのつながりがあったのです。
 開設と同時に「聖書を学ぶ会」が発足しました。その翌年には入居者のFGさんが島津牧師によって受洗しました。さらに一九九四年十二月から九か月間、佐倉教会が新会堂建設の期間中、「ゆうゆうの里」の施設を借りて礼拝を行った歴史があります。以後、この集会は「賛美歌と聖書の会」、「賛美歌の会」と呼称を変えながら、有馬尊義牧師、黒田直人牧師の指導に引き継がれて、金南錫牧師の今日に至ります。
 現在は毎月第二火曜日の午前十時三十分から一時間、集会室を借りて「聖書を読む会」を開いています。昨年の出席者は平均十四名/月で、そのうちの半数が佐倉教会の会員、半数が入居者です。その月の誕生日の人を歌でお祝いしてケーキをいただきます。呼び物はその日の聖書の箇所を再現するパフォーマンスです。寸劇の演出は某教会員、配役は某牧師と夫人及び某教会員と夫人、その熱演はここだけにしておくのはもったいないほどです。さらにクリスマス特別集会などには佐倉教会の有志の皆さんや追加の入居者の参加があり、正に教会の伝道の一端となっていると言ってもよいでしょう。これは紛れもなく宗教活動であり通常の公共施設では問題視されても仕方がないはずです。なのに「ゆうゆうの里」は佐倉教会のこの活動には寛容であるばかりでなくスタッフの皆さんは大変協力的です。それは先にご紹介したようにこの施設がスタートしたときからキリスト教の理念を胚胎していたことを知れば不思議ではないでしょう。
 以上、簡単ながら「ゆうゆうの里」の「聖書を読む会」のご紹介をしました。佐倉教会の皆様のお出でを歓迎します。余談になりますが聖隷佐倉市民病院は国立病院であったものが民営化されたときに浜松の聖隷福祉事業団が経営に参画するようになりました。その故に、この病院の増築工事の起工式などの式典には必ず佐倉教会の牧師が招かれているのです。