詩 とちの木

○ぶどうの枝第50号(2019年6月30日発行)に掲載(執筆者:MS)

きゃっきゃと近づいてきて
葉っぱを拾って鳥になり雲になる子供たち
乳歯の抜けた声でうたう歌が
腕にぶら下がり背中によじ登りながら
木を目覚めさせた

大小いくつもの節から青い夢が芽生え
生き生きとした陰を広げた
すべり台、ブランコに乗る声に
膨らんだ夢が風船のように空に舞い上がった

明るく大きく輝く季節に向かって
鳥と雲がかすかに遠ざかる
優しい根は日差しだけで元気だった日々を守る

ある遥かな丘の
歌を失ったまなざしのために
母親と手をつないで走る運動会の歓声に
木は鬱蒼となる

年輪の青い家に
一葉
一葉
鳥が飛び雲が流れてくる

傷ついた夢が
休んだ跡が
まだ暖かい
   *
 S姉が創られた詩を幾つか読ませていただいています。この詩は、読んだときに最近のS姉が希望を持って歩んでいらっしゃることを強く感じました。例えば「木は鬱蒼となる」との箇所では、木が生い茂っている様子が描かれていますが、同時に希望もまた大きく膨らんでいることが感じられます。感動いたしました。
(MA)

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